
大切な人へ
第27章 あなたと離れて
「美優~!」
紗羅が上田くんと手を繋いで歩いてくる 仲良すぎ!
春休みに入り
井川くんがいる野球部の練習試合を見に来た
どこかのグラウンドかと思っていたら
本格的な球場でびっくりしてると上田くんが言ってた
今日の相手はうちのライバルらしくて
本番と同じ場所でしようと組まれた試合だったそう
うちの野球部はそれなりに強いらしく
甲子園にも出たことがある...らしい
最近はあと一歩届かない結果が続いてる...らしい
何にも知らなかったな
上田くんがサッカーをもう引退したのも知らなかった
中に入るとみんな準備やキャッチボールをしてる
電光掲示板にはうちの高校の名前と城東高校の文字
近くの普通科の高校だ
試合が始まるみたい
野球をちゃんと見るのって小学生ぶりだ
ピッチャーは井川くん
バンッ!ってキャッチャーミットが大きく鳴る
すごい速い...気がする
バッターは次々アウトになっていく
たまに打たれるけど点数がはいる気配がない
でもこちらも中々点数にはならない...
5回の時点で0-0
相手の高校の攻撃でカキーンって大きな音がした
...ホームランだ
「あ...入っちゃった 大丈夫かな」
紗羅がぼそっと言うと上田くんが
1点くらいすぐ返せるって言ってる
でも6回、7回も 1-0のまま
8回の1人目のバッターが1塁に出た
2人目のバッターは井川くんだった
詳しくない私でもわかる...
この回がすごく大切だってことくらい
胸の前でぎゅっと手を握る...頑張って
