
大切な人へ
第22章 冬休み
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ガチャッ...
玄関のカギを開ける音にはっと時計を見る
もう母親が帰ってくる時間になってた
「ただいま お客さん?」
「うん...友達が風邪でふらふらだったから寝かせてる」
もう結構時間もたってたし様子を見に行った
部屋ではまだ寝息が聞こえた
でも顔色は少しはましになった気がする
「おい...起きれるか?」 ゆっくり目が開く...
『...あれ 井川くん? ごめん寝てた?』
やっぱり本人は熟睡か...
夕食食べていけって言っても断り続けるから
母親に車で送ってやってほしいってお願いした
ふらふらのくせに母親にも丁寧に挨拶をして断るから
2人で無理やり車に押し込んで送った
「可愛い子ね?彼女じゃないの?」
「違う。クラスが一緒だってあいつも言ってただろ?」
「お母さんはあの子好きだな!いい子でしょ」
「...あぁ」
明るくそう言った母親の言葉にうまく返せない
アキトってやつが好きなんだ...
夏に言ってた好きな人ってやつかな
彼氏できたとか全く言ってなかったけどあれは...
あの時のあいつの顔が頭を離れない
幸せそうに握ってた手は だれの手だったんだろう
