ただあなただけを見つめる
第5章 優しい時間
初めてだ。
こんなに優しいキスをされるのは。
てゆうか、こんなに優しいキスがこの世にあったんだ…。
「暁って見た目ゴツいのにこんなキスするんだね。」
「……夏帆限定。」
ふふふ、と笑う私に、暁はまた唇を寄せた。
今度はさっきよりも長いキスをした。
何度も何度も角度を変え、どんどん深くなる…。
私の目から涙が流れた。
暁はびっくりして顔を離す。
「ごめん…嫌だった?」
オロオロする暁に、私は首を横に振った。
「違うの……。
こんなに優しいキス初めてで……何か涙出ちゃった…。」
「…そか。」
暁は私の頬を伝う涙を指ですくい、そっと抱きしめた。
「ちょ…くすぐったい(笑)」
首筋に触れる暁の唇。
くすぐったくて、でも気持ち良くて…変な感じだ。
しばらくして暁は耳元で囁いた。
「なぁ……いいかな?」
「………。」
私はその意味を理解し、コクりと頷いた。
暁は「ありがとう」と小さな声で言うと、私をゆっくりと抱き上げ、ベッドに下ろした。
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