ただあなただけを見つめる
第26章 光の粒
二人のやりとりを見て、ふふふと笑い、窓から見えるイルミネーションに視線をうつした。
雪がしんしんと降る空を見ながら、こう思うのだった。
―――暁、今どこで何をしていますか?
あれから四年…
旭さんから聞きました。
出所して、仕事を見つけるため、遠くに行かれた…と。
私は今、旭さんに支援してもらいながらも何とか親子二人、元気に過ごしています。
暁はまだ、この子の存在を知らないよね。
私はあれから女の子を出産しました。
“向日葵”っていうんだよ。
暁の大好きな花の名前。
暁はあの時、「下ろしてくれ」と言ったけど…
私はどうしてもこの子を下ろしてはいけないと思ったんだ。
暁が言った、
「誰が犯罪者の子供を愛してくれる…?
生まれてくる子供がかわいそうだ。」
という言葉。
ごめんね。
私、負けず嫌いだから…
「誰にも愛されないなら、その分何百倍もこの子を愛す。
この子はかわいそうなんじゃない。
かわいそうな子に育てない。」
そう思ったの。
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