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異彩ノ雫

第94章  恋文 (四)




お逢いしとうございます
ただ お逢いしとうございます

それより外の望みなど…


夜風が胸を過ぎてゆきます
もしや このまま…

いいえ いいえ
そのようなことは思いますまい

けれど
朧に滲む月影が
わたくしの心を濡らしては
闇の底へと沈めてしまうのです



今宵もまた
あなたの面影を抱きしめて
眠りの海をさ迷うのでしょうか


せめて
あとひとたび、と祈りながら…







(了)


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