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異彩ノ雫

第66章  二ノ月




── いつの間にか日没が遅くなった
それだけ春に近付いた…
ということか

カウンター越しの会話は
独り言に似て…

手元のグラスに
溶けかけた氷がひとつ
時間旅行には
あと少し
夢が足りない


── そう、同じものを貰おうか…
いや
今度はマティーニにしよう

酔いの船が
早く
迎えに来るように


今宵の風は
どの岸に向かって
吹くものか







【夜船】



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