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第19章 かわいいひと〜近くて遠い〜
アパートへ向かって歩く。
無意識に手を繋ぎそうになるのを何度か我に返って。
「今日は割と早くない?」
「うん。
翔ちゃんと大野さん以外にもいたからね。
飲みに行きますか、ってなって、軽く飲んで帰ってきた。」
最初の電話よりもう随分しっかりしな口調。
「酔ったらお前に会いたくなってぇ、
会ったらお前にチューしたくなってぇ、」
あれ。
まだ酔ってんの?
「誰にでもチューしたくなるとか…ないよね?」
不安になって訊くと、思い出し笑いして、
「えー、まあ、うん。」
「なに、その返事。」
「翔ちゃんや大野さんにしたことあるな…ほっぺにだけど。」
「……
なんか…やだな。」
「大丈夫!
口にはしたことないから。
…たぶん。」
「ホント勘弁してよ!」
釘をさすと、ハイハイ、って適当な返事をするから、やわやわと先生のほっぺを摘んだ。
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