
愛は要らないから…
第9章 恋愛感情
「はいっ」
不意にお弁当のおかずを
箸で差し出されて、食べてくれと言ってるようだ
からあげ…美味しそう…
「…いただきます」
俺は口を開けて
荒井から食べさせてもらうと
少し教室がざわついた
あ、いつも餌付けされるとき
あーんって食べさせてくれるの日常茶飯事だけど
転校生といるからか、色んな人に見られたんだろうな…
そんな気にすること?って思うんだけど
やっぱ男同士であーんは普通じゃ気持ち悪い…?
「ご飯も食べる?」
「いや!そんなにもらえないから…」
「あ…口に合わなかった?」
荒井はしゅんと悲しそうに
まだ俺にご飯を差し出したままでいる
俺はいいとして
人様には迷惑はかけれない
友達とか他人とか関係なく
だからそれも本音だし
転校初日
早々に変な風に見られたり思われたら嫌だろうから
断ったんだけど
荒井は違う風に捕らえちゃったみたい
これは…食べるしかないのか?
「早くー!」
「お、おう……」
えぇい!一回やったらもう遅い!
俺は意を決して食べさせてもらった
「よし、食べた。からあげひとつで持つわけないんだし遠慮しないの」
「…うん、ありがとう
あ、全然本当に美味しいから!」
