
アップルパイと君の隣で
第14章 アップルパイと
私が続けて耳元で、顔赤いけど?と呟くと更に顔を赤くしてなんか暑いですね、ぇ〜と言って両手をぱたぱたして風を送る。
明らかに挙動不審である。
意外だ。
軽く受け流すと思っていたのに。
今日は知らない佳奈を沢山見ている気がする。
それは今まで佳奈の事を知らなかったということで。
私は今まで知ろうとしてこなかったという事を示していた。
「佳奈の好きな物って何?」
だからか私は聞いてみたくなった。
「...?先輩に決まってるじゃないですか」
佳奈は質問が大雑把過ぎたせいか当然のように間髪入れずに答えた。
美人だと言われただけでむちゃくちゃ照れていたのにそういうことはさらっと言ってのける。
天然と言うか。何というか。
「...そうじゃなくて食べ物とか!」
そこはスルーして話を進める。
「アップルパイ」
隣からポツリと呟いた声が聞こえた。
