
アップルパイと君の隣で
第11章 先輩と家族
「兄弟...?私はずっと一人っ子よ」
ドクドクと嫌な音が聞こえ始める。
「っ...そんな嘘つかないで下さいっ」
「嘘なんかついてない」
「じゃあっ..!暑がりの先輩が裸足にならないのはどうしてですか...?プールや海に行きたがらないのは?」
「別にそんなに好きじゃないからで...「嘘です!先輩がいつも上手に断るのを私が知らないとでも思ったんですか?」
嫌だ。
「止めて」
「先輩は過去を無かったことにしたいんですか?」
「そうよ」
「先輩はそれでいいんですか?」
「...」
「過去は無かったことになんて出来ませんよ」
「違っ...」
「私は絶対に先輩を嫌いになったりしませんよ」
「違う!違うの...」
私はいつの間にか大声で叫んでいた。
「先輩...」
佳奈の声は嫌に優しかった。
