
アップルパイと君の隣で
第10章 隣に居たいなんて
「大丈夫ですよ?照れる先輩もとっても素敵です」
「だから違うって...」
相変わらず人の話を聞く気はないらしい。
「今度はもっと面白い映画見に行きましょうね!」
佳奈は少し背伸びして赤く染まった私の頬に軽くキスを落とす。
「また映画なのかよ...。と言ううかあんた映画なんて殆ど見てないじゃない」
「他の場所の方が良いですか?」
「そういう問題じゃないわよ」
「だってベタベタな青春映画ですよ?あんなの見て何が面白いんですかねぇ?」
佳奈はそう言って鼻で笑った。
「あんたねぇ。映画に誘ったのはあんたでしょ」
「それはあの男に対抗してみただけですよぉ。先輩を見ている方が百万倍楽しいですし♪」
佳奈は「あの時の先輩、すごい色っぽかったです」と耳元で囁いてクスッと微笑んだ。
そんなに面白い顔をしていないと思うんだけど。
