天気予報の恋人
第4章 chapter 4
施設に移ってからのかずは
それまで以上に、周りに心を閉ざすようになっていた
親に見放され
一緒にいると言った俺からも半ば無理矢理離されて
まだ幼かったかずにとっては
…あまりにも酷な出来事だったんだから
それも、当然なのかも知れない
「和也。雅紀くん来たよ」
施設の職員が、部屋にいるかずを呼んだ
勢い良くドアが開いたと思ったら
かずが飛び出してくる
その勢いのまま、俺に抱きついて
思わずよろけそうになった
いつも、こんな感じだった
体は大きくなって、大人に近付いてきてるのに
心はあの時のまま
「帰りはまた、明日の夜でいいのかな」
職員が笑いながら俺に聞く
「はい。よろしくお願いします」
「いってらっしゃい。楽しんでおいで」
笑顔で見送るここの職員は
本当に良い人ばかりで
さすが翔ちゃんとリーダーが捜しただけある施設だった
翔ちゃんと施設の話し合いで
週末、何もない時は
翔ちゃんの家で過ごせるようにと、手配してくれたんだ。
名目上は、かずの心のリハビリとして
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