天気予報の恋人
第9章 chapter 9
…心配かけるから、翔ちゃんにこっそりメールはしておいた
翔ちゃんからは
『じっくり付き合ってあげて』とすぐに返ってきた
俺はかずになら、いつまでだって付き合うよ
…当たり前じゃん、そんな事
エンジンが切れた静かな車内で、まだ俯いたままのかず
だけど、何か言おうとしてるのは
様子を見てれば分かるから
…無言で背中を擦って、じっとその時を待った
どのくらい、そうしてたんだろう
チラホラ止まってた車は1台もいなくなっていて
気付いたら俺たちだけになっていた
ここは閉鎖時間は0時だから、まだまだ時間はある
「…おかあさんが、いた」
ポツリ、とかずが口を開いた
「え…」
「電車降りたら…ベンチに座ってたの」
…かずの声が、少し震えている
背中を擦る手を再開させた
少しでも、安心を与えたくて
「声、掛けたんだ。…無視するのもおかしいから
それに、おかあさんも
俺に…気付いたし」
でもね、と言った瞬間
かずの目から、涙が溢れだした
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