天気予報の恋人
第9章 chapter 9
とぼとぼと歩いてくるかずは、俺の車を見つけると
無意識なのか、両手でパチンと頬を叩いていた
それからムリに笑顔を作って…こちらに走り出す
俺が気付いてないと思ってるんだろう
…なら、気付かない振りをした方が良い?
でも
それは、俺には出来ない
だって、悲しそうな顔なんか…させたくないんだから
「…ごめん、遅くなっちゃった」
作り笑顔で車のドアを開けると、そのまま体を滑らせるように助手席に座る
シートベルトを締めた後
「待ったよね、…ごめん」
改めて俺の方に顔を向けた
「…何かあった?」
「え?」
ストレートに、いきなり話を切り出したらかずの目が少し泳いだ
「何も…ないよ、何で?」
ごまかそうとして笑うけど、声も上擦ってるの
…隠せてない
「見たんだよ、…凄く悲しそうな顔してたの」
「まーくん…」
かずが、何とも言えない顔をする
「やっぱり、まーくんには隠せないね」
…今度は、泣きそうな顔をした
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