
なぜ?
第8章 秘密
戸田慶一郎が名津子の伯父さん?
普通、伯父さんが総理大臣だったら、自慢するんじゃないか?
なのに、名津子は隠していた。
不祥事で退任した総理大臣ならまだしも、歴代最高の支持率で惜しまれながら任期満了で退任した伝説の総理大臣だ。なんで?
夜、名津子と二人きりになり、俺は名津子に疑問をぶつけた。
「名津子、伯父さんのこと、隠してた?」
「そんなことないよ。キッカケがなかっただけ。」
鏡越しに俺を見る目はあくまで優しい。
「どっちのお兄さんなの?」
「お父さん。」
「俺、名津子のご両親に会う前に伯父さんに会っちゃったね!ねえ、今度名津子のご両親に会わせてよ!」
「無理…」
「なんで?俺は紹介できないような相手?」
「ちがう。二人とも生きてないの。」
「…じゃあ、お墓は?お墓参りに行こうよ!」
「お墓は作らなかったの…ごめんね…」
さっきまでの優しい目は、今にも泣きそうだ。
俺、随分ヒドイことを言っちゃった。
「ごめん名津子、そんなつもりじゃなかったんだ。」
「うん。わかってる。私が話さなかったんだもん。」
名津子はベットで座る俺のところに来て、腰に腕を回して抱きついた。
私の両親はね…
普通、伯父さんが総理大臣だったら、自慢するんじゃないか?
なのに、名津子は隠していた。
不祥事で退任した総理大臣ならまだしも、歴代最高の支持率で惜しまれながら任期満了で退任した伝説の総理大臣だ。なんで?
夜、名津子と二人きりになり、俺は名津子に疑問をぶつけた。
「名津子、伯父さんのこと、隠してた?」
「そんなことないよ。キッカケがなかっただけ。」
鏡越しに俺を見る目はあくまで優しい。
「どっちのお兄さんなの?」
「お父さん。」
「俺、名津子のご両親に会う前に伯父さんに会っちゃったね!ねえ、今度名津子のご両親に会わせてよ!」
「無理…」
「なんで?俺は紹介できないような相手?」
「ちがう。二人とも生きてないの。」
「…じゃあ、お墓は?お墓参りに行こうよ!」
「お墓は作らなかったの…ごめんね…」
さっきまでの優しい目は、今にも泣きそうだ。
俺、随分ヒドイことを言っちゃった。
「ごめん名津子、そんなつもりじゃなかったんだ。」
「うん。わかってる。私が話さなかったんだもん。」
名津子はベットで座る俺のところに来て、腰に腕を回して抱きついた。
私の両親はね…
