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なぜ?

第3章 変化

名津子の父親は官僚だった。
数年単位で海外ばかりを回っていたらしい。

「私、学校に行ってなくて…」
どこの国に行っても学校には通わず、家庭教師とお手伝いさんに囲まれてきた。
だから私には友達もいない。子供らしい遊びをした覚えもない。
家族では日本語を話し、家庭教師とは教えられた現地の言葉で話す。
数学や歴史は日本から送られてきた教材で、母親に教えられたそうだ。

「じゃあ他の言葉も話すの?」
「はい、話せます。でも、ハングルと中国語はわからないんです。
父が赴任しなかったから…」


そんなことを話してるうちにジュノの部屋が見えてきた。

ニックンは横の名津子を見下ろした。
キレイな髪だな、肌もキレイだ。シミもシワもない。
メイクしててもしてなくてもほとんど変わらない。
飾らないシンプルな人だ。


「ここだよ。どうぞ。」
「お邪魔します。」
ドアを開けて名津子を先に通した。

部屋の中にはテギョンとベットに横たわるジュノだけ。
「みんなは?」
「ミンジュンとウヨンは曲の仕上げに行った。チャンソンは寝るって。」
「そう。」
「ジュノさん、大丈夫ですか?」
「あれ?英語話せるの?」
「はい、一応…」
それから3人で英語で話をした。そのうちジュノが起きるだろうと。

一応と言ったわりには僕たちと問題なく話す名津子。
自分をへりくだてて言う、謙遜の美徳だっけ?名津子はやっぱり日本人なんだな。

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