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なぜ?

第17章 悪夢

温かい…ジュノさんの匂いがする。
ああきっとこれは夢なんだろうな。私、死ぬのかな?
神様が最後に私の願いを叶えてくれるのかな?
ジュノさんに抱きしめられて、ぬくもりに触れたいっていう願い。
大好きジュノさん。ずっとずっと一緒にいたかった。


「名津子…名津子…」
ジュノさんが呼んでる。まだ私のことを呼んでくれるの?
ジュノさんじゃない人としてしまったのに、まだ私のことを想ってくれるの?

「名津子…起きろ名津子…」
ジュノさん、私、ジュノさんのところに帰っていいの?
帰りたい…ジュノさんのところに帰りたい…


目を開けると、ジュノさんに腕枕をされていた。
寝てる…睫毛長い…
思わず触りたくなり、指を伸ばす。

「ん…」
あっ、起こしちゃう。慌てて手を引っ込めようとすると、手を掴まれた。

「何してんの?」
「えっ?睫毛に触りたくて…」
「睫毛?」
「ごめんなさい。こそばいかったよね?」
「いや…触るんなら、もっと別のところ触って。」
そう言って、ジュノさんは私を腕に閉じ込めた。

少し汗ばんだ肌が、顔に貼り付く。
ジュノさんの匂いが私を纏った。

「あの…離して…」
「ん?何で?」
「汚いから。」
「汚くない。」
「でも…」
「名津子、俺、昨日オマエを風呂に入れたんだぞ。ちゃんと隅々まで体も洗った。汚いわけないだろ?」
「そうじゃなくて…」
「そういうことだから。お願いもうちょっと寝させて。」
それだけ言うと、ジュノさんはとっとと寝てしまった。



ジュノさん。私、本当に汚くないの?本当に、そう思ってくれてるの?

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