方位磁石の指す方向。
第2章 scene 2
…どうするかなんて、
もう決まってる。
決まってんだけどさ、
もう時間はてっぺん過ぎてる。
さっき二宮から来たのは
…確か、十一時頃。
で、おやすみって書いてあった。
あ、でも、礼儀としてしただけ?
寝てない、かなぁ。
智くんに聞こうとしたけど、
おやすみーって返信。
…寝たな。
でも、一度決めたことは
やり通したい。
これだけは、譲れない。
私利私欲で行動なんてしない。
今、卒業しよう。
『寝てたらいいんだけど、
やっぱり明日は塾ないから
駅前で会わない?いつでもいいよ。』
「…そ、そうし…」
したいのに、できない。
ほんの少しの羞恥心。
「…よし。」
深呼吸を繰り返して、
ボタンを押す。
…それとほぼ同時。
俺の電話が鳴った。
「び、ビビったぁ…。」
ディスプレイに表示されたのは、
『二宮』の文字。
胸が高鳴る。
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