方位磁石の指す方向。
第9章 scene 8
「なーに、もう。」
「お腹減った…」
「俺なんも作れない。」
「いーから…なんか食べたい。」
「家なんもない。」
ぷっとまた頬を膨らませてから、
むくっと起き上がり。
「どっか出かけよう?
恋人らしくデートでもどう?」
なんて。
「…いーよ。
俺金ないけど。」
「いーのっ。
とりあえず、ぐーたらしてるだけじゃ
勿体ないでしょ?」
「インドアのお前がよく言うもんだわ。」
「むっ…。
……別に、翔さんだからだし…
他の人となら、行かないし…」
そんな可愛いことを言ってくれちゃ、
俺だって鬼じゃないし。
「んじゃあ、行くかぁ。」
「どこ行く?」
「どこでもよくね?
適当にブラつければ。」
「…うんっ。」
嬉しそうな顔した二宮が、
俺の後ろをトコトコついてくる。
…なんか、
犬みてぇだな。
性格は猫のくせに、
犬っぽいところある。
ギャップ…?
あ、でも、
俺は結局どっちの二宮でも
惚れてるし好きなんだよなぁ。
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