
神様の願い事
第6章 名探偵
智「偉いよ、翔くん」
翔「え?」
智「誰にもバレないように身を引くなんて...、辛かったよね?」
翔「ん... うん?」
未だ優しく背を撫でて、温もりを伝えながら智くんはボソボソと話し始める。
智「そうだよな…、ずっと見てたんだもん。苦しかったね...」
翔「へ?」
智「だけど相葉ちゃんはやっぱ、ニノだからさ...。だから、我慢したんでしょ? 凄いよ…」
翔「え、何の話」
智「誤魔化さなくていいよ。もう、分かってるから」
俺の胸に頬を張り付け、なにやら訳の分からない話を始める。
智「しかし相葉ちゃんも鈍感だよね。俺だって気付いたくらいなのに」
翔「...もしもし? ひょっとして、俺が相葉くんを好きだと思ってる?」
智「だから(笑) 俺には嘘つかなくていいよ。誰にも言わないから」
この間説明したのに。分かってくれたと思ってたのに。
智「でもさすがにあのキスで、気付いちゃったかな...」
翔「や、だからしてないって」
智「え?」
なんも聞いてねえじゃねえか。
智「あ~でも、その方が良かったかも。それなら気付かれないだろうし、翔くんだって逆に忘れられないかもしれないしね…」
翔「あの、だからね? この間も言ったと思うけど」
“ん?”なんて丸い目で俺を見上げるその顔は、何もわかっちゃいないんだ。
だから俺はもう一度説明した。
それはそれは丁寧に、智くんでも理解出来るように懇々と説明したんだ。
智「え...、好きじゃないの?」
翔「どうしてそう見えたのかすら不思議なんだけど」
智くんの肩を掴んで、目線を合わせてしっかりと言ったんだ。
するとどうやら理解してくれたみたいで。
智「じゃあなんでキス」
翔「だぁかぁらぁ」
まだだった。
翔「仲間だったらキスくらい出来るんじゃないかって、相葉くんが」
ごめん相葉くん。お前が言った事にしてくれ。
翔「だから試してみたんだよ。まあ、無理だったけど」
智「...出来なかったの?」
翔「好きは好きでもloveじゃないからね。 仲間だからこそ出来なかった(笑)」
そんな俺を真っ直ぐ見て、一言呟いた。
智「なんだ...、俺の勘違いか…」
“紛らわしいな”と言ってすぐにそっぽを向いたけど、その横顔は、少し笑ってた。
