 
4月は君のぬくもり
第6章 恋のライバル
えみを振った罪悪感と、由衣との同居を知られそうな危うさに、俺は茫然と立ちつくしていた。
そこへ…
「このモテ男めっ」
その声に驚いて振り向くと、幸二だった。
今の一部始終を見られていたわけだ…。
「あの弁当、えみちゃんからのだったんだな。何で黙ってた?みずくさいぞ晶午」
「そんなの言えるわけないだろっ?
お前が彼女を好きな事知ってたし」
「あーあ、かわいそうに」
「やめてくれ、俺だってツラい」
「晶午さぁ、由衣先生と付き合うならもっとうまくやれ。脇が甘いんだよ」
幸二が意味深な事を言った。
「俺と先生は付き合ってない。お前までなんだよ!」
「せっかく遠くまで出かけて、動画なんか撮られるなって」
「お、おい…っ!?」
俺はスタスタと歩き出す幸二の後を、ばつの悪い顔で追う。
教室に入るのがこんなに緊張するのは、初めてだった。
 
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