 
4月は君のぬくもり
第3章 由衣の決断
まさかが現実だった事に、私は愕然とした。
どうしていいかわからない。
ただ自分が無力に思えて……。
「あ…先生を泣かせちゃった俺」
いつの間にか私の頬を涙が伝っていた。
「あたりまえよ!そんなこと聞かされちゃ…」
「他の先生には内緒ってことで。退学にはなりたくないからさ」
「…」
「んじゃ俺、もう行くわ。先生、そんなに落ち込むなって。驚かせて悪かったと思ってるよ」
彼がカバンを持って立ち上がる。
「待ちなさい!ホストなんか…もうやめて。あなたは高校生なのよ?」
「…仕方ないだろ。生きてくためには金がいるんだ。あんたみたいなお嬢さんにはわかんねぇだろうけど」
「他にいくらだってバイト先はあるでしょう?」
「ふっ。今さら時給の安い仕事なんか、ばからしくてできない」
だめ…この子をもう一人にはさせておけない。
だから…今私は決めた。
「じゃあ私が一緒に住んであげるわっ。家賃だって払ってあげるから。それならいい?」
「えっ!!」
 
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