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奇跡を生み出す腕を手に入れた、大阪の兄ちゃんの話を実話で公開

第4章 お父さんのお土産と西くんからのプレゼント

 どっちかと言えば、僕の方が、西くんに嫉妬してた。


 あの、トランプの透視だって、お楽しみ会の計算マジックだって、大きな見せ場は西くんが占領していたじゃないか。


 まだ、僕はそんなに人には見せたことがない。


 西くんは僕に、あるマジック道具を差し出した。


 それは、リングマジックのチャイナリングだ。


「これ、やって見せて」と言う。


「もう、やってない。知らない」と言うと、「百貨店にいたじゃん」と言われた。


 見られていた。


「マジックしてないって言うけど、この前、教えてもらってたやんか」


 たまたま西くんが行った時、僕がリングを教えてもらってた時だった。


 クラスが別々になって、僕の方は、お楽しみ会の件で勝手に毛嫌いして、なかなか会うこともせず、西くんの方は、本当はまだ僕とマジックがしたかったと言う。


 次にまたマジックが出来る日が来るまで、西くんは僕に並べるように、必死にマジックを勉強したという。


 僕はなにもしてなかった。恥ずかしいくらいになにもしなかった。


 西くんのレパートリーは100ちかくあったのに、僕は10もなかった。



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