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奇跡を生み出す腕を手に入れた、大阪の兄ちゃんの話を実話で公開

第3章 調子乗り豆マジシャン

 僕はホッとした。誰も声をかけてくれなかったら、一人で手品でもしようかと思ってたんだ。


 西くんと二人で、お楽しみ会をすることにした。


 普段怖い担任のおばちゃん先生は「先生が面白いと思ったグループには、賞品を用意します」と言った。


 でも、僕達二人でなにをしよう。


 一度家に帰ってランドセルを置いて、西くんの家に行った。


 入り口がいきなりガレージで、ドーンと車が1台止まってましてね。その横を通って「西く〜ん、いますかぁ〜」と叫ぶ。


 すると奥から「上がりぃ〜」と声がする。


「おじゃまします」


 入ったら、いきなりソファー。


 西くんのお父さんが使うのか、デカイ灰皿がテーブルの真ん中にズンと置いてある。


 テレビは観音開きの二枚扉がついたやつ。この当時は、地上デジタル放送なんて、誰も思い付かなかっただろう。


 だが、問題の西くんがいない。


 さっきまで、押し入れだと思っていた襖が開いて、西くんが顔を出した。


「こっちこっち」


 押し入れじゃなく、階段があった。



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