
好きになったらダメだよ
第6章 最低同士だからいいんじゃない?
「彼とエッチして気付いた。保と結婚することはできないって。」
「ちょ、ちょっと待てよ!お前、俺がお前とセックスしないから、他の男としたわけ?俺の身代わりに?」
「……。」
保の身代わりに……?伊都を保に重ねて見ていた……?
「……多分違うと思う。最初は寂しさとか欲望とかそんな気持ちだったと思うけど……今は……彼の手に触れられるのを望んでいる。」
保の顔から動揺とか混乱とかそういう要素がスッと引いて、急に真顔になった。
「愛莉がそういうやつだと思わなかった。彼氏がいて他の男と寝れるなんて。」
軽蔑したような声色で落ち込んだ風に静かに溜め息を吐く。
そんな保に私は本当は言ってやりたかった。
あんただってラブホに女を連れ込んでいたんでしょって。
でもこの台詞は絶対に言ってはいけない。
だって私に彼を責める権利はないから。
自分のことを棚上げして、彼のことを責める資格などない。
