好きになったらダメだよ
第3章 声は出したらダメだよ?
伊都は私を椅子に座らせ、何事もなかったように、キレイに服を直してくれた。
「愛莉、感じすぎ。」
「だって……。」
「もう18時半になる。帰らなきゃ。」
今の時季、生徒の最終下校は18時半と決まっている。
「うん、気を付けてね。」
なんだか少し名残惜しいと思うのは、私だけだろうか。
「あっ、そうだ。愛莉、連絡先。」
「へっ?」
「教えてよ。」
伊都がスマホを制服のポケットから取り出し、私に手を差し出す。
「……うん。」
伊都に渡すと、彼は馴れた感じで、数秒で連絡先を交換してしまう。
「また連絡ちょーだい。」
甘えた声と笑顔で私にスマホを返すと、額にキスを落としてくる。
さっきエッチしてたときとは、別人のよう。
物腰が柔で、可愛い高校生にしか見えない。
「また明日ね。」
「……また…明日。」
ヒラヒラと手を振りながら教室を出る彼を見送りながら、時間差で私も教室を出た。
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