ふたり、溺愛中
第14章 紫の憂鬱
______
_________
______________
『あ、もしもし紫苑?
ねぇ、今夜会える?』
「やぁ。
それは、お店に来てくれるって事かな?」
『違うわよ!
ふたりで会いたいって言ってるの』
「それはありがとう」
僕が紫苑だと特に思い知らされるのは、この彼女と接している時だ。
『それはそうと、紫苑はサインしてくれた?』
「え、何の事かな」
『もぉ!とぼけないで!!
この前と時に預けたじゃない!
あたしと紫苑の婚姻届』
やれやれ…
いい加減やめてもらえないかなと思うよ。
彼女に世話になって随分経つのだが、とうとう最近は結婚しろときたもんだ。
『紫苑の所はサインしてくれた?
住むのは、ゆっくりでいいのよ。うちはいつでも空いてるんだから』
結婚か…。
結婚すれば、僕を手に入れたつもりなんだろうか。
心は、決して手に入れられたつもりはないんだけどね。
『大丈夫よ。紫苑は何も変わらないんだから、心配しないで。
サインしたら、後はあたしに任せてくれたらいいんだからね』
何も変わらない…か。
じゃあ君は、何の為に結婚したいんだい?
僕の名前も知らない癖に。
君が結婚したい相手は、僕じゃなくて僕の形をした"紫苑"なだけだろう!
_________
______________
『あ、もしもし紫苑?
ねぇ、今夜会える?』
「やぁ。
それは、お店に来てくれるって事かな?」
『違うわよ!
ふたりで会いたいって言ってるの』
「それはありがとう」
僕が紫苑だと特に思い知らされるのは、この彼女と接している時だ。
『それはそうと、紫苑はサインしてくれた?』
「え、何の事かな」
『もぉ!とぼけないで!!
この前と時に預けたじゃない!
あたしと紫苑の婚姻届』
やれやれ…
いい加減やめてもらえないかなと思うよ。
彼女に世話になって随分経つのだが、とうとう最近は結婚しろときたもんだ。
『紫苑の所はサインしてくれた?
住むのは、ゆっくりでいいのよ。うちはいつでも空いてるんだから』
結婚か…。
結婚すれば、僕を手に入れたつもりなんだろうか。
心は、決して手に入れられたつもりはないんだけどね。
『大丈夫よ。紫苑は何も変わらないんだから、心配しないで。
サインしたら、後はあたしに任せてくれたらいいんだからね』
何も変わらない…か。
じゃあ君は、何の為に結婚したいんだい?
僕の名前も知らない癖に。
君が結婚したい相手は、僕じゃなくて僕の形をした"紫苑"なだけだろう!
作品トップ
目次
作者トップ
レビューを見る
ファンになる
本棚へ入れる
拍手する
友達に教える