
私の心の1番綺麗なところに
第29章 曇り心
いくらなんでも
連絡もなしに約束を破ったことを
責めたり
私のなにがいけなかったのか
聞けば良いのに…
私は…
「そっか…事故とかじゃなくて良かった。
じゃあ、今日は、帰るね。」
苦しいし、哀しいし、辛いのに…
それでも
嫌われたくないからという気持ちで…
あわよくば、一言だけでも
彼から「ごめんな。」
という言葉を聞きたくて…
「ああ、それじゃ。」
電話は、切れた。
電話が切れると、
さっきまで彼の声しか
聴こえていなかった耳に、
周囲の音が入ってくる。
ザワザワ、ざわざわ。
楽しそうに、賑やかに。
前後左右の人が
目的の人を見つけ、
私の視界から離れてゆく。
そしてまた別の人が
私の前後左右に現れ、
じきに現れるであろう人を待つ。
彼を見つけるために
必死で見つめていた改札は
さっきと変わらず、慌ただしく
人が出たり入ったりしている。
そこに、私の待つ人は、
現れない…
