けだもの系王子
第7章 聖矢、腹黒系?
その力も強いし。
あたしのスカートが長めでフワリとしてるから回りからは分からないのか優しく見守られているし。
「麗奈さんいい香り。
また、キスしようかな〜?」
あたしの髪に頬を寄せて犬みたいにごろごろした可愛い仕草で頬ずりしている。
くっそ、調子に乗りやがってっ。
ぎりぎりと締め付けられて。
がっちり足も押さえつけられて。
あたし達は疲れる抱擁を交わしたのだった……。
聖矢は自分でも言っていたとおりしつこかった……。
不思議と大学で毎日のように付きまとわれ不愉快な思いを過ごし。
家の近くでも出会ってしまう。
晩御飯は当たり前のように聖矢のバイト先に連れて行かれて。
帰る時は当たり前のように車で家に送ってくれる。
これは何の嫌がらせだろう。
あたし達の間には色っぽい雰囲気はない。
むしろ喧嘩ばかりしている。
何が楽しいのかにこにこ笑いながらあたしの後をついてくる。
しまいには弁当を作って来て一緒に昼御飯を美味しく頂いていた。
聞けば父子家庭で最近料理を良くするようになったらしい。
美味しいものに目がないあたしはまんまと食べ物に吊られてしまっていたんだった。
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