テキストサイズ

幻想世界☆

第19章 寄り添う心③

・北山side

北「話がしたいんだ」

藤「俺と?」

北「ちゃんと向き合って、だから」



そうは言ったものの。



北「‥‥‥」

藤「‥‥‥」

北「あっ、座れ…ば」

藤「うん」



なにから喋ったらいいのか

ソファーにふたり隣り合わせで腰を掛け。



北「あの…さ」

藤「んっ?」

北「なんか飲む?」

藤「いい」

北「あ…そっ」

藤「‥‥‥」



伏し目がちな藤ヶ谷の視線ヤバい涙が出てきた。



北「くっ、ううっ」

藤「北山?」

北「ヒクッ」

藤「えっ!?」



咄嗟にギュッと腕にしがみついたら。



藤「ど、どうしたんだよ」



驚いた顔をし、俺を見つめ



北「なんか、言ってくれ」

藤「なに…を?」

北「なんかはなんかだ!」

藤「分からねぇよ、そんなこと言われても」

北「分かれってバカ」

藤「なっ」



俺の気持ち、クッ

身体が自然と小刻みに震え藤ヶ谷の胸に、顔を埋めて咽び泣く。



北「本心…が‥知り…たい」

藤「‥‥っ」

北「おまえの本当の気持ち俺に教えてくれ」

藤「北山」

北「でなきゃもう耐えられね、なぁ藤ヶ谷」



すがるような想い。

ジーッと見つめる瞳に心がキュンと締めつけられ。



藤「今さら言って、なんになる」

北「えっ」

藤「たとえ、どんな理由があったにしても俺がした事は許されることじゃない」

北「そうだ、おまえは俺を凌辱した」

藤「あぁ」

北「んでも心が」

藤「心?」



見つめ合う瞳と瞳―



北「だから知りてんだわ」

藤「北…」



チュッ!



藤「ドンッ、ちょ!?おまえ何をする気だよ」



不意打ちにキスをしたら、すぐさま引き離される。



北「こっちですれば向こうでのお前は、魔物に操られなくて済むんだろ」

藤「なんでそれを!?」

北「だったら構わない俺を抱け」

藤「北…山」

北「俺、知ってるんだ藤ヶ谷の中にゼロムいること」

藤「なっ」



流れる沈黙―

暫くして藤ヶ谷は絞り出すような声で言った。



藤「でき…ない」

北「藤ヶ谷!」

藤「俺には、クッ」

北「なら、おまえはこの先どうなるんだわ」

藤「‥‥‥」



バカやろう!




ストーリーメニュー

TOPTOPへ