
不透明な男
第13章 胸裏
ゴロゴロと、猫がなつく様にBにしがみついた。
俺は目を閉じて安心しきっていた。
そんな俺を愛しそうに見つめ、Bは溜め息をつく。
B「はぁ、心配だ…」
智「大丈夫だよ。だからお前がいるんでしょ?」
B「そりゃそうだけど」
Bは何やら不安そうな顔を覗かせる。
B「あいつら、こぞってサドだ」
智「え」
B「お前の歪んだ顔が見たくて、皆その日を待ち望んでる」
智「ちょ…、皆って、それ何人いるの」
おいおい待てよ、ひょっとして計算外か?
社長のお供に二人程連れてくる位のものだろうと思っていたが、そうじゃないのか?
B「いや、まあ、人数は大丈夫だ。俺が減らしといてやるよ」
智「どうやって…」
B「ん?ふふっ、手段はなんでもあるさ」
なんだよ、コイツもAみたいな顔しやがる。
なんでそんな悪い顔出来るんだ。
智「まあ、それならいいけど。殺さないでね?」
B「んな事しねえよ」
なんなんだ、コイツら一体何者なんだ。
俺は成瀬領だと嘘を付いていたが、ひょっとしてコイツらも本性を出していないんじゃないのか?
智「お前、なんか隠してない?」
Bから手を離し、俺は少し距離を取ると疑いの籠った目で見てやった。
B「ああ?なんも隠してねえよ…?」
嘘だ。絶対なんか隠してやがるな。
智「正体見せろ」
B「おっ、おいこら」
すっかり震えの治まった手で、Bの胸ぐらに掴みかかる。
俺を暴いておいて、自分達だけ隠してるなんて許せるかってんだ。
智「お前、只のBGじゃねえだろ」
B「な、何を言って」
智「本当はどこから来たんだよ。潜入捜査でもしてんの?」
ベッドにBを押し付け、俺は馬乗りになる。
智「騙せると思ってんの?」
B「ったく、本当お前の勘、何なんだよ…」
お、諦めたか?
さあ、話して貰おうか。
