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不透明な男

第2章 正体不明の男


智「え…っと、あの、」

男「ん?」

智「その…、き、聞きたい事があるんですけど…。」


男はモジモジしながら話す俺を見ると苦笑する。


男「急に改まってどうした?」



いや、だって
年上の人みたいだし…

…年上

…年上?

や、まてよ?
俺はいくつなんだっけ?



すこぶるヘンな顔をしていたんだろう。
男は俺を覗き込むとククッと笑う。


男「なんちゅー顔してんだ。美人が台無しだぞ。」

智「へっ?」


そういえば、男は俺を可愛いだの綺麗だのとほざいていた。
自分の顔位は覚えている。
覚えている筈だが、なぜかハッキリとは頭に浮かび上がらなかった。

俺は自分の頬を両手で挟むとウロウロと部屋をさまよい、姿見を見つけた。

姿見に映り込む自分を見る。



あれ…
これがおれ?

こんなんだっけ?

こんなだったような気もする…

あ、ああ!
そうだ、おれだよ!

うん、おれだ、おれ。



鏡に映った自分を見ながら、独り言のように呟く。


智「なんか、コイツ、ちっこくて弱そう。」


ぷはっと男が笑う。


男「みんなそれに騙されるんだ。なめてかかると大変な事になるのにな。」


男の返答はいまいちよく解らなかったが、俺は質問を続ける。


智「そんで…、俺は智で正解なの?」

男「はあああぁ…、やっぱマジかよ。そうだよ、智で正解だよ。」


男は呆れたように深いため息をついた。


智「んで、俺はなんで病院にいるの?」

男「ん、だからそれは…。」


男は、自分が知っているだけの事を俺に話してくれた。





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