
不透明な男
第8章 序章
俺にバスタオルを巻き付けると、俺を抱え上げベッドルームに運ぶ。
智「え、えっ、ちょ松兄ぃっ」
兄「大人しくしてろ」
智「ふ、風呂はっ!?」
兄「…もうちょい後だ。どうせまた洗わなきゃなんねえだろ?」
何する気だよ、早く戻れとジタバタする俺を松兄ぃは鼻で笑う。
智「ちょ…」
俺を優しくベッドに横たえる。
兄「お前は罪な奴なんだよ。…自覚しやがれ」
松兄ぃは、俺の上にのし掛かり唇を重ねてくる。
俺の身体に巻き付けたバスタオルをほどくと、そっと身体を拭きながら熱い目で見つめてくる。
兄「なんだってそんな顔するんだ。我慢出来る訳ないだろ…」
もしかしたら、また松兄ぃに熱を貰えるのかもしれないと、俺の頭は自分でも気付かない内に期待していた。
その期待が表れた俺の瞳は潤んで、頬は熱を持ち始めていた。
智「松兄ぃがあんな事するからだろ…」
松兄ぃは、俺の髪を拭きながら身体をぴたっとくっ付けて聞いてくる。
兄「俺のせいか?」
智「どう考えたってそうでしょ…」
兄「違う。あれはお前のせいだ」
智「はぁ?どこがだよ」
兄「お前が煽るからだっつってんだろ」
智「だからそれは松兄が…っ、ん」
兄「智…、その唇食べさせろ…」
再び唇を重ねると、言葉通り俺の唇を味わう様に貪ってくる。
智「ん…、ふ…」
兄「その可愛い舌もだ…」
俺の舌を絡めとる。
熱く、深いキスが俺の口内で繰り広げられる。
堪らず俺の舌も反応してしまう。
松兄ぃの首に両手を回すと、顔を傾け松兄ぃの舌に吸い付く。
もっと熱が欲しくて、自ら松兄ぃの中に入っていく。
智「んん…、ふ、ぁ…」
兄「俺の熱なんて、いくらでもお前にやる…」
再び、俺の身体は火照る。
