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お嬢様と二人の執事

第10章 旅立ち


キャンパスに戻り、学部の卒業式に出席した3人。

そのままカフェテラスで行う謝恩会に流れ込む。

同級生たちと写真を撮り、学生生活最後の時間を過ごす。

全てが終わった夕方。

3人はカフェテラスの片隅にいた。

「さて、このあとどうする?」

麻紗が聞く。

「この格好でどっか行くのって大変だよね?」

絢も言う。

「そうだよね…。」

そう言いながらも名残惜しい気持ちの沙都子。

それがわかったのか麻紗が沙都子の隣に座る。

「沙都、確かにさ、今までみたいに毎日は会えないけどそれってさ、今までの長い休みでもあったことじゃん?

私も絢もずっと沙都の友だちだよ?
そりゃね、はじめて別々の道を行くわけだから私だって寂しいし不安だよ?

でも、二人がいるから大丈夫。沙都も絢も新しいスタートを笑顔で迎えようよ?」

「麻紗が珍しく正論を言ってる」

絢が混ぜ返すと麻紗が怒ったような顔をする。

「そんなことない、私そんなにおバカじゃないよ?」

「わかってるよ、おバカだったら弁護士になんてなれないでしょ?麻紗も沙都子も天然なだけだよね?」

「私、天然じゃないし!」

沙都子と麻紗がユニゾンで言う。

いつものやり取り、いつもの空気。
沙都子はなんだか嬉しくなった。

「麻紗ちゃん、絢ちゃん、ありがとう!私、頑張るね。

あのさ…ゴールデンウィーク、どっか行けたらいいなぁなんて思うんだけど…ダメ?」

沙都子は二人に尋ねながらその時に今まで話せなかったことを話そうと心に決めた。

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