
雨が夕日に変わるとき
第1章 雨が夕日に変わるとき
「~♪その唇 その指先
すべて私のものになればいいのに
どうしてあなたは私を見てくれないの
その瞳は誰のことを見つめているの
触れたくて触れられなくて
愛しくてこんなにも恋しい……」
「なんの歌?」
「え?」
気づかないうちに口ずさんでいたようだ。待ち合わせ場所に来た将ちゃんに聞かれてしまった。
「え? じゃなくて、なんの歌なの?」
「セツナレンサって曲」
「今度、ダウンロードしたいんだけど、誰が歌ってるの?」
「Dream kissって人だよ」
「へえ~今度、聞いてみるね。じゃ、行こうか」
将ちゃんの手には傘を持っていない。
