
Everlasting Love
第54章 初恋
愛純「親戚のお姉さんがそこに通っててね…ヴァイオリン習ってて…すごく優しくて綺麗な人なの。」
愛純「私ね、そのお姉さんにずっと憧れていて…私もそのお姉さんのようになりたいって思って…同じ学校を受験して…そこに通った。」
聖輝「へぇ…そうだったんだ…」
愛純「でも…女子校だから、女同士の争いが強くて…」
愛純「小学校でも学級代表したことあったから、中学でも率先してクラスの委員長していたんだけど…周りから睨まれるようになっちゃって…」
愛純「お姉さんのようになるんだ!って…強い気持ちがあったから…周りからの嫌がらせに耐えることができたんだけど…」
愛純「でも…そのお姉さん…ある日事故で手をケガしちゃって…ヴァイオリンが弾けなくなっちゃって…」
愛純「それから一気に悪い方向に走っちゃって…ずっと目標にしていたものが私の前から突然消えたの…」
愛純「ショックだった…憧れていた人が一瞬で別人に生まれ変わったのが…」
愛純「だから…目標がなくなった私は…学校を辞めて…お母さんの地元に帰ってきたの…」
聖輝「そうだったんだ……」
愛純「…あっ、ごめんなさい!私ったら暗い話しちゃって…」
聖輝「あっいや……」
愛純「こっちに転校してからは…クラスのみんなは私にすごく優しく接してくれた。」
愛純「休み時間もたくさん話しかけてきてくれるし…遊びにも誘ってくれるし…いろんなこと教えてくれるし…すごく嬉しかった。」
愛純「でも…今は仲良くしてても…もしかしたらまた嫌がらせを受けるんじゃないかって…そう思うと怖くて……」
聖輝「だっ大丈夫だよ!」
愛純「えっ?」
聖輝「みんな本当にいい子だし、仲も良くて友達思いだから…それに……」
愛純「それに…?」
聖輝「それに…もっもし…永島さんがいじめられるようなことがあったら…ぼっ僕が!僕が…守るから!」
愛純「涼野くん……」
聖輝「だから…大丈夫だよ!」
愛純「…ありがとう、涼野くん。」
これが僕ができる精一杯の愛情表現だった。
好きな人が困ってる顔なんて見たくない…
これが今の僕にできる彼女への慰め方だった。
