キョウダイ
第14章 陽だまりの優しさ
それからあとは、お互いなんとなくぎこちなく、気まずい雰囲気。
今までこんな事はなかったのに……。
元々悠ちゃんは口数少ないタイプ。
お互い会話はなくても、平気だったのに。
何を話せばいいのか、分からない。
帰りの車の中でも、お互いぎこちなく、とうとう家に着いてしまった。
「今日はありがとう、悠ちゃん。嬉しかったよ?」
なるべく笑顔で、別れの挨拶を口にする。
学校でのレポートをやらなきゃいけないから、忙しいって言ってた。
気分転換であたしと遊園地に行ってくれたみたい。
もうすっかり薄暗くなっていた。
外灯の明かりに照されて、悠ちゃんの瞳が甘く輝く。
運転席から助手席にいるあたしの頬に手を伸ばし、
「おやすみ。ゆっくり寝るんだよ?」
耳元に囁かれる。
ドキドキして、心臓に悪い。
「うん、大丈夫。おやすみ」
手を振って別れる。
走り去っていく車を見つめる。
『悠ちゃんは好きになっちゃダメよ』
真理ちゃんの言葉を思いだす。
ないない。
ぷるぷるっ、首を振る。
あたしが好きな人は、柊ちゃんなんだから……。
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