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マリは小柄な体型で、大人しい性格のようだった。

カズ君が、店の規則やシステム、給料について説明しているのを、静かに聞いていた。

「質問は？」

カズ君が最後にきくと、マリは首を横に振った。

「さて、どうしようかな…ボクとしたらマリさんがうちで働くのは是非お願いしたいところなんだけど」

そう言ってカズ君が、私をちらっと見る。

「…俺だって構わない」

私には、雇う、雇わないを決める権限はないはずだが、一応答える。

「そう。じゃあ、マリさんが働きたいというなら、これから練習をしようと思うんだけど、どうですか？」

「…はい」

マリがうつむきながら返事をする。

「じゃあ練習担当はケントさんだから、お任せするね」

カズ君は、笑顔で私にそう言った。

奥さんでなくてよかったね、とでも言うかのような笑顔だった。