秘密中毒
第13章 目撃
帰ったらあの人はいなくて。
15分後に戻ってきたあの人が言った。
「君の相手を殴ってきたよ」
「…えっ?」
「君を失いかけてるときくらい、正面切って立ち向かおうと思ってね」
ソファーに腰掛けながら、あの人は今日久しぶりに見せた、あの光る目をしている。
「どう…して?」
あたしは話を読めず、固まってしまう。
人を殴ったなんて、あの人と一緒にいた間、聞いたこともないのに。
「君が遅いからやっぱり心配で探しに行って、あの車に乗ってるのを見たんだ。
暗くてよく見えなかったけど、キス…してたよね。」
ドクン。
誰かに見られるかもなんて、吹っ飛んでた…!
しかも一番見せちゃダメな相手に見せちゃって。
何やってるんだろ、あたし。
「腹が立ったよ。
耳で聞くよりも目で見るほうがショックだな。
泣いて出て行った君を見つけたのが、自分じゃなくてその男だったのにも腹が立つ。」
そうだ。ありえない偶然で、山田くんはあたしを見つけたんだ。
固まり続けるあたしに、あの人は聞いた。
「あいつとは、ほんとに遊び相手…なのか?」
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