
秘密中毒
第13章 目撃
――――だけど遅すぎたの。
山田くんに会っちゃったから。
あなたを。
愛してしまったから――――
のど元まで出てくるその言葉を、何とか飲みこむ。
山田くんの遊び相手は、山田くんのせいで夫と別れたりしちゃいけない。
あくまでも便利で気持ちいい関係じゃなくちゃ。
あたしは目の前の顔を見つめる。
涼しげな目、通った鼻筋、意志を感じさせるあごのライン。
引き締まった唇はクールな印象を持っていて、首から鎖骨にかけては程よくついた筋肉が色気を醸し出していて……
18歳の時とはずいぶん変わったけど、同じ目の輝きを持っていて。
ずっとずっと好きだった人、再会してまた惹かれた人。
さっきから黙っていた山田くんが、静かに口を開く。
「よかったんじゃない、旦那に必要とされてて。」
ズキン。
「なのに、俺に抱かれたいって目で見てる。」
ドキン。
「ちっ………」
違うって言いかけたけど、違ってない。山田くんの言うとおりだ。
思い切って正直になってみようか。
あたしは息を吸い込んで、山田くんを見つめて、言った。
「あたし、アメリカに行く。その前にもう一度、抱かれたい……です」
