
腹黒ドS王子の愛する人Another
第1章 慧×桃史の場合
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「はぁ、お先に失礼しますね!」
「うん、じゃあね。花巻さん。」
よる遅くまで仕事をしていた花巻さんは俺に声を掛けると立ち上がって伸びをする。
俺の体もそろそろ限界だ。
誰もいなくなって静かになったオフィス。
花巻さんが出て行ったことを伝えるかのようにがちゃんと部署の扉はしまった。
さてと......
今ここには二人きり、それはもちろん俺と、同じ仕事で残っている北浜だ。
これはチャンス、俺は静かに席を立ってなるべく気配を消して北浜に近寄った。
「な、なぁ北浜。」
そっと声を掛けるとそれには北浜は何も反応を示さない。
やっぱ、怒ってるか......
取り敢えずこっちを見て欲しくてもう少し近寄る。
それでも北浜はこちらを見ようとはしない。
なんか、おかしくないか.....?
