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腹黒ドS王子の愛する人Another

第1章 慧×桃史の場合

桃史side






思い出すのは最後に告げた別れの言葉ばかり。



学生の頃、一人だけ大切にした人がいる。








キスも、それ以上の行為も何もなかったけど、俺はその人を好きで好きでたまらなかった。









両親が死んだ時、





"ごめん。" とだけ伝えた。









なにも伝えられないままその子とは疎遠になって、俺の優先順位は葵が1番になった。









その時初めて気づいた。







その子のことを簡単に割り切れたことに。



思っていたより心に残らなかったことに。












だからその時から俺は何と無く、この先人を好きになることはないんだろう、葵より大切にしたいと思う人は現れないんだろうと何処かで思っていた。


















高田に出会うまでは。




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