
例えばこんな日常
第26章 Love truly!/AN
大きなガラス窓の向こうに映えるイルミネーション。
街はすっかりクリスマス一色。
歩道を歩く幸せそうなカップルをチラ見して、また手元の雑誌に視線を落とした。
待ち合わせはいつものコンビニ。
一歩先には光り輝く世界が散りばめられているというのに、このコンビニの中は笑っちゃうほどの日常感で溢れていて。
そんなギャップが何だかおかしくて、マスクの中でふふっと笑みを溢した。
年に一度のクリスマス。
俺たちにとっては初めてのクリスマス。
…ううん。
恋人の誕生日を初めて一緒に祝える日。
「ねぇ見て!この相葉くんカッコ良くない?」
「やだ、超カッコ良いんだけど!」
急に黄色い声を上げた隣の女子高生の手元に目を遣れば、まーくんが載っているらしい雑誌を瞳を輝かせながら見ていて。
ふふ…カッコいいでしょ。
それ俺の彼氏だよ。
キャップの影に隠れてこっそりとニヤける。
まーくんが褒められると俺まで褒められてるみたいで嬉しい。
それに何とも言えない優越感。
「あ、見て見て!にのくん超可愛い!」
「うわ、この可愛さヤバくない?」
今度は俺のページなのか、さっきと同じテンションで盛り上がる女の子たち。
やっぱりまーくんは"かっこいい"で、俺は"可愛い"なんだ。
んー…俺も一応男の子なんだけど。
なんて一人ごちてみるけど、応援してくれていることにはきっと変わりはないから。
それにいつもまーくんが"かずは可愛いね"って言ってくれるから…可愛いでもいっか。
