
甘く、苦く
第54章 末ズ【ゲーム<?】
撮影が終わると、
すぐに潤くんは出ていった。
そんな潤くんの後ろ姿を、
じっと見ていたら、
翔さんが。
「どーしたんだよ。
潤となんかあったの?」
「ううん。潤くん、
今日は飲みに行くんだって。
だから、なんかさ…。」
「あー…そゆこと。
うちの智くんも今日は珍しく
家に帰ってこないらしくてさ…?」
「えっ、それ辛い。」
「でしょ?
もー、ほんと、たまったもんじゃないわ笑」
「ふふ、そうだねぇ。
潤くんは早めに上がってくるって
言ってたからさ?
でも…酔っちゃうと歯止め利かないし。
明日オフだからーとかそういう理由で
飲んじゃいそうだもん。」
「わかるわー。
智くんは帰ってくるか微妙だかんなぁ。
あ、そろそろ行くわ。
じゃ、誕生日おめっとさん。ニノ。」
「ふふ、ありがと。
撮影頑張ってね。」
「おうっ」
…あ、結構話したな。
気付けば、楽屋は俺とまーくんだけ。
「まーくん?」
「ん?」
「なに読んでんの?」
「スラムダンクー」
「あー、懐かしいね。」
「でしょー?ニノも見る?」
うんって俺が頷いたら
目の前のテーブルに
一巻から三巻まで置いた。
「え、買ったの?」
「うん。
ページ破れてたりしたからさ。」
「どんだけ読んだのよ笑それ。」
「ふふっ笑
好きだから読めちゃうんだよ。」
なんて言ってまた、
本を読み始めた。
潤くんがいないときは、
こんな風に空白を埋める。
