
甘く、苦く
第90章 磁石【色彩】
荒い息遣いに、
ベッドの軋む音。
二人だけの空間。
甘くて苦い、この空間。
高く上擦った声は、
ひっきりなしに響いている。
下で乱れる彼を見ながら、
優越感に浸る。
こんな姿を見れるのは、俺だけ。
この先もずっと。
しなやかなカーブを描く腰に
そっと触れる。
「んっ…」
柔らかく少し湿った肌。
腰を持って、奥まで抉ろうとすると、
身を捩って逃げられる。
「逃げんなよ…」
「ぁっ、やだっ…」
ガツガツと腰をぶつけると、
抵抗をしていた体は素直になる。
言葉は全く素直ではない。
「ね、ほら、見て」
「やぁだっ…」
「ニノのココ、とろとろだよ」
「やっ、言わなっ…ぁ、」
ニノ自身を優しく包み込み、
上下にゆるくスライドさせる。
「んぁっ、ぁ、やめっ…」
俺から逃げようとするニノの体を、
強く抱き締めて。
鼻の先が当たるくらい近くで、
見つめ合う。
「ぁ…やだ…」
目を逸らそうとするニノの頬を掴み、
無理やり俺を見させる。
…忘れられないくらい。
俺がいない間、一瞬たりとも
俺のことを忘れられないくらいにしてやる。
