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甘く、苦く

第82章 末ズ【Omens of love.】




あの夜から、また幾日も過ぎた。

「…うそでしょ。」

潤くんの誕生日なのに。


…今年は、お祝いできないのかな。

急に用事が入っちゃった、なんて、
おかしくない?

疑いたくないけど、
問い詰めたくなる。

こんな大切な日に、
用事ができたからってそっちを優先する?

俺とはずっとずっと前から
決めてたことなのに?


『ごめんね。』

なんて、ひと言で片付けないでよね。


少し遅れる、って言ったから待ってたのに、
もう二時間も経つ。

あと四時間で明日になっちゃう。
今日中に祝いたいよ。俺。


「…ばーか……きらいだ、」


潤くんなんて…嫌い…。

せっかく作ったケーキも、
潤くんが来ないんだったら意味無い。

頑張る必要、あんまりなかったのかもな。
普段通りにしてればよかった。

…ばーか。


一年の記念日は、一回しかないよ。
もうないんだよ。

「…ばか。」

俺のこと、もっと愛してよ。

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