
甘く、苦く
第82章 末ズ【Omens of love.】
ただ単純に、
会いたいなって思ってるだけ。
でも、適当な理由をこじつけてでも
会いたいんだもん。
寂しいから、って、立派な理由じゃない?
…あーでも、俺、そんなキャラじゃないし。
寂しいからって、
こんな時間に行ったら迷惑だよね。
……今から電話も迷惑かな?
でも、声聞きたいし。
理由なんて、山ほどある。
寂しいとか、声を聞きたいとか、
顔が見たいだとか。
いっぱいあるのに、
踏み出せない。
会いたいのに、
理由が子供っぽいんだもん。
もっと大人っぽく、スタイリッシュに…。
潤くんを誘いたいんだよ。
あぁ、やっぱり、会いたいよ。
無茶苦茶だけど、
今から会いに行ってもいいかな。
「──…あ、もしもし。潤くん?」
『ん、どうした?』
「…いや、あの、
大した理由はないんだけど…」
『理由?』
…話す順番間違えた。
いっつもそうだ。
「~…っもうっ、
とりあえず会いたいのっ…!」
飛んでいっちゃいたいくらい、
早く会いたい。
