テキストサイズ

甘く、苦く

第81章 お山【Now I'm ready.】






「櫻井さんお疲れ様でしたー!
これ、差し入れです。」

「あぁ、ありがとう。…ぁ、」


これ、智くんの好きなサンドイッチだ。


「すいません、これ…
もうひとつ貰えませんか?」

「あぁ、どうぞ。
余り物ですが…」

「いや、ありがとう。
じゃあ、あ疲れ様でした。」


ぺこりと頭を下げて、
智くんのいるカフェまで向かう。

…早く会いたいな。






「…あ、翔くんっ!」

「ごめん、待った?」

「ふふ、ちょっとだけ。」

「どれくらい?」

「んー…軽く1時間?」


ふふ、て笑ってるけど、
かなり退屈だっただろうな。


「マジで。ごめんね。
…はいこれ、機嫌治る?」

「わっわっ、これ!
俺の好きなヤツ!どうしたの?」

「んと、撮影の差し入れ。」

「ほんと?え、ふたつも?」

「いや、1個は俺の。
んでもうひとつは
智くんのために貰ってきた。」


俺がそう言うと、
ぱぁっと顔を明るくさせて、

「ありがとうっ」

って、年齢とは似合わない笑みを浮かべた。


子供みたいな、無邪気な顔。


「んふふ、俺幸せだ〜
翔くんと食べるのひさしぶりだねぇ。」

「…ごめん。」

「ふふ、いいよぉ。
今幸せだからいいの。」


ほわん、って
優しい笑みを浮かべてから

「でも寂しかったな。」

ってちょっと上目遣いで言う。


…そんな顔されたら、
抑え効かなくなる。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ