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甘く、苦く

第76章 末ズ【Please Kiss Me.】






不覚にも、
きゅんっとしてしまう。

…なんでだろ。


「…あ、ニノ、
俺もうそろそろ出るから。」

「うん。」

「ニノ休みでしょ?
よかったら送ってくよ。」

「…え?いいの?」

「うん、ついでだし。」


…あぁ、どうしてこうも
この人は優しいんだろう。

余計、自信がなくなる。

相葉さんにハッキリ
振られたわけじゃないけど、
失恋したのは確かだ。

この、このタイミングで。


俺は潤くんに惚れそうになってる。


「あ、お皿はそのままでいいよ。」

「え、いいよ。
自分の分くらい洗わせて?」

「…じゃあ、お願い。
俺着替えてくる。」

「うん。」


リビングから潤くんの姿がなくなり、
ふうーと大きく溜め息。

…あぁ、俺最低だなぁ…。

この期に及んで、
潤くんに付け込もうとしてる。

……自分が、悲しくて、
寂しいから。


要は、誰でもいいのかもしれない。

俺のことを、必要としてくれて、
甘やかしてくれる人なら、
誰でもいいのかもしれない。


そう思ったら、
申し訳なさが込み上げてきて。


「…はぁ」


お皿を持つ手に
いつもより力が入った。

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