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DAYS

第30章 時計じかけのアンブレラ II S×A







「相葉ちゃん、もしかして…。」
「記憶障害が残るかもって、
先生に言われてたんだけど…。

本当にそうなっちゃってて…。

何にも覚えてないの。
俺以外のこと。」
「…ニノ以外のことを?」
「うん…。よく分かんないけど、
俺だけは覚えてるみたいで…。」


信じられないって顔してる大野さん。

そりゃそうなるよ。
俺だってまだ信じられない。


こんな夢みたいなことが起こるなんて。



「これから、どうすりゃいいんだよ…。」


はぁっと長いため息。

仕事のこと。
相葉さんの記憶のこと。

とにかく問題は山ほどある。

だけど、俺にとっては
これ以上ない幸せであることに
変わりはなくて。


ニヤけそうになる頬を抑えるのに、
とにかく必死だった。


「…ねぇ、ニノ。」
「はい?」
「…いや、何でもない。

翔くんに、どうやって伝えよう…。」
「とにかく、目が覚めた時に、
相葉さんも目が覚めたことを
伝えるべきかと。」


俺がそう言うと、力強く頷いて
翔さんの病室に戻ってった。


相葉さんが待ってることを
思い出して、急いで部屋に戻ったら


「かず…遅い…。」


うるうる涙目で待ってた。


「ごめんね、まーくん。」
「うん。」


頭の中を占めるのは、

少しの罪悪感と、

比にならない幸福感。

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